2013年9月6日金曜日

肉が食卓に並ぶまで

肉について語ると
肉が我々の口に入るまでの過程も
説明する必要がある。

あの旨い肉がどのような過程を経て
我々の食卓までくるのか?

食肉が生産されるためには、
一般に肉用の家畜および家禽を肥育(ひいく)し、
これを屠畜(とちく)もしくは屠鳥(とちょう)して解体し、
必要に応じて熟成を施す必要があります。

狩猟などによって得られた場合は
肥育および屠畜のプロセスを経ることは
ありませんが・・・

肥育というのは、
食肉を得ることを主目的として
家畜を飼養管理することを言います。

誕生直後から肥育を行うことはあまり無く、
一般的に肥育に適する月齢まで
育成したものを肥育にします。

肥育期においては、
肉が十分つくだけでなく、
肉質が十分高まるような管理が行われます。

廃用牛などであっても、
そのまま出荷せず、
一定期間肥育されることもあります。

肉質は遺伝的因子や飼料成分、
および飼養環境などにより変動します。

肥育された動物は、
屠畜場にて屠畜(とちく)されます。

食鳥の場合は屠鳥(とちょう)と言います。

食肉としての品質を確保するため、
ストレスの出来るだけ少ない屠畜法や、
筋肉に血斑(スポット)の残存しない
放血法が用いられます。

屠畜の後、
非可食部位やその他の副生物は
取り除かれます。

牛や豚などの肉畜の場合は、
背骨に沿って左右に切断されます。

このように左右に切断された
それぞれを枝肉と呼びます。

ニワトリなどのように、
枝肉の形態をとらないものもあります。

屠畜の後、屠体もしくは枝肉は冷却される。

冷却ののち、
屠体や枝肉のままでは
流通に適さない場合、
部位ごとに解体します。

筋肉は、屠畜直後は軟らかいが、
一定時間経つと筋肉を構成する
タンパク質が状態変化し、
硬くなってきます。

これはいわゆる死後硬直
呼ばれる現象によるものです。

筋肉への酸素の供給が絶たれると
好気的な代謝は停止しますが、
嫌気的な代謝は継続して行われます。

つまり肉中のATPが消費され、
グリコーゲンが嫌気的に分解され、
乳酸を生成します。

これによって徐々に肉のpHが低下します。

最低到達pHは、牛、豚でpH5.5付近、
鶏でpH6.0です。

最低到達pHになると嫌気的な代謝も阻害されるため、
それ以下にpHが下がることはありません。

pHの低下に伴い、
筋源繊維タンパク質である
ミオシンとアクチンが強く結合して
アクトミオシンを生成し、
硬い状態となるわけです。

死後硬直中の肉は硬く、
保水力も悪くなります。

死後硬直中の肉は、
そのまま食用にすることは
出来ないため、
熟成を経てから食用として
供給されます。

硬直中の肉はさらに低温で保存すると、
再び軟らかくなり(解硬)風味が増します。

これは筋肉細胞に残存する
タンパク質分解酵素プロテアーゼにより
筋源繊維が小片化するためと考えられていますが、
その他にも筋肉中のCa2+イオンが関与していると言う
説もあるようです。

熟成は基本的に枝肉の段階で行われます。

熟成に要する期間は畜種ごとに異なります。

2~5℃で貯蔵した場合、
牛は7~10日間
豚は3~5日間
鶏は半日ほどで解硬されます。

牛などの場合は、
解硬のみならず、
熟成によって生じる独特な香気を
十分に発生させるため、

十分解硬したのちも
さらに長期間にわたって
熟成させることもあります。


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