2013年9月13日金曜日

牛肉について

出荷されている牛肉は、
肉牛品種(黒毛和牛など)の肉が多いですが、
廃乳牛や去勢し肥育した乳牛の肉も販売されています。



牛は、ほぼすべての部位の肉を
食べることが可能ですが、
近年では、健康な牛の場合は
問題がないものの、
BSE問題の危険性を考慮し
一部食用とし難い危険部位が存在します。



調理については、
加熱して食すほか、
ステーキでは熱で蛋白質が変質しきらない状態で
食べるレアやミディアムなどの焼き加減があり、
刺身として生食する場合もあります。



しかし、牛は人間を終宿主とする
寄生虫の一種である無鉤条虫の中間宿主であり、
幼虫(無鉤嚢虫)は主に牛の筋肉に寄生しています。



そのため牛肉を生や、
それに近い状態で食べることは、
寄生虫感染のリスクを伴います。



一般的に、60°C以上に加熱
または-10°C以下で10日以上冷凍した肉は
安全とされています。



日本では生レバーも食用にされていますが、
健康な牛でさえも約10%程度が
カンピロバクターを保菌している事が
厚生労働省の研究班から報告されており、
食中毒のリスクを伴っております。



西洋料理のタルタルステーキや
カルパッチョなど、
一部の食文化では牛肉の生食に
薬味を添える習慣があるのですが、
この薬味によって寄生虫や食中毒のリスクを
軽減させている効果があるといわれていますが
実は、科学的な根拠はありません。



強いていえば薄く切る、
また叩くことで寄生虫のリスクを
減らすことができる可能性があります。



牛肉は他の食用肉と比べ冷凍保存に向いていて、
冷凍庫で凍結させることで家庭用冷蔵庫(2ドア)なら半年、
業務用冷凍庫なら1年は持つと言われております。



これは一般に鶏肉や豚肉を得る上での
肥育期間が牛肉を得る上での肥育期間に比べて短いため、
それらの肉は筋繊維の構造が急激な肥育で牛肉に比べて
ほぐれやすくなっている点にあります。



ちなみに、ヒンドゥー教では
牛は神聖な動物であるとされ、
牛肉の食用を禁じています。



そのため大抵のヒンドゥー教徒は、
牛を農耕と牛乳生産のために利用するだけで、
食用として肥育はされていません。



日本では645年(大化元年)に
牛馬を生贄(いけにえ)にした例
(『日本書紀』皇極天皇元年)などもあります。



また675年(天武天皇5年)4月17日 (旧暦)の
いわゆる肉食禁止令(『日本書紀』)で、
4月1日 (旧暦)から9月30日までの間、
稚魚の保護と五畜(牛・馬・犬・ニホンザル・ニワトリ)の
肉食を禁止されていました。



戦国時代にはキリスト教イエズス会の宣教師、
キリシタン大名をはじめ松永貞徳著『慰草』(1652年)によると
京都などでもひろくワカ(葡: Vaca)として
牛が食べられていました。



豊臣秀吉は小田原征伐の時、
高山右近、蒲生氏郷、細川忠興とともに
牛をたべています。



江戸時代の1690年(元禄3年)近江彦根藩は
「牛肉味噌漬」を「薬喰い」として作り
売っていました。



健康増進や病人の養生のために食用されていました、



食用家畜として飼育されている牛は
皆無だったことから、
極めて高価な「薬」であったと
言われています。



廃用農耕牛は肉質は硬いですが
これが食用に回されていました。



彦根藩主井伊家は毎年徳川将軍家(江戸)と
徳川御三家(名古屋、和歌山、水戸)に
「牛肉味噌漬」などを献上していました。



また、同時代には牛肉の栄養に着目し、
寒い時期に乾肉を生産していました。



江戸ではももんじ屋などで
食べるようになりました。



本格的に牛肉が食べられ始めたのは、
明治の文明開化以降であり、
牛なべ屋(すき焼き)が流行しました。



また、1872年(明治5年)1月24日、
明治天皇が牛肉を食べたといわれていますが、
2011年現在では、
皇族用の御料牧場では肉牛は
飼養管理されていません。



この日本での牛肉事情であるが、
国産牛肉が一頭ずつ大切に肥育する
飼育方法が長らく取られていたため、
従来は豚肉よりも高価な肉とされていました。



しかし1991年(平成3年)4月からの
牛肉の輸入自由化によって
日本国外から安価な牛肉が
入ってくるようになったため、
家庭の食卓に頻繁に
上るようにもなっています。



関西では、
「肉」といえば
牛肉の事を指すほど
食されています。



ちなみに、日本の市町村で
牛肉の消費量が最も多いのは
和歌山市です。



フランスをはじめ欧米では
成牛肉と、子牛肉は異なる流通ルートであり、
料理への利用も区別されるのが一般的です。



子牛肉は総じて
どの部位も赤みが少なく
柔らかいのが特徴です。



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